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130年の歩み

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2.商工業従業員の実務教育 (大正11年4月)

 日露戦争は、わが国産業経済に飛躍的発展をもたらす機会となり、明治後期から大正期にかけて百貨店の出現、丁稚制度に代わる通勤給料形態の店員制度の採用、洋式複式簿記の普及など商業の近代化が急速に進んだ。

 このような時代の流れのなかで、長崎商業会議所は、商業従事者の資質の向上をはかるため実務教育に力を注ぐことになった。大正11年4月、実業補習教育長期講習会を開講、さらに同15年1月から商工業実務員学力検定試験を実施したが、実業教育を受ける機会に恵まれなかった当時、向学心に燃える商業従事者の期待に応えるものとして好評を博し、毎回盛況を呈した。


実業補習教育長期講習会

 商業従業員に対して夜間を利用して実務に必要な学科の補習教育を行なうことを目的として開くことになったもので、第1回講習会は大正11年4月1日から翌12年3月28日まで、毎週、月・水・金曜日、夜間2時間、講習生55人が聴講して開かれた。

 講習科目は、(1)商事要項 (2)経済大要 (3)商業英語 (4)商業算術 (5)商業簿記 (6)商業作文(7)珠算で、長崎市立商業学校の須藤教諭らを講師として授業を行なった。この講習会は、翌年も36人の講習生が参加して開かれたが、小学校での実業補習教育が充実してきたのに伴い、その年限りで廃止されることになった。


商工業実務員検定試験

 正規の商業教育を受けることができない商工従業員に対して、甲種商業学校卒業程度の学力を標準として学力の検定試験を行ない、資格を与えようとするもので、第一回検定試験は、大正15年1月22日から24日まで行なわれた。試験委員に長崎高等商業学校の教授陣を委嘱して、(1)法制経済 (2)商事要項 (3)商業地理 (4)商業算術 (5)簿記 (6)英語 (7)作文の各科目について試験を行ない、全科目合格者に学力検定証書を、科目合格者には学科合格証書を授与する制度であった。

 こうした従業員の人材育成事業は、今日の商工会議所においても主要事業の一つとなっており、これまでにも時代のニーズに対応すべく、珠算・簿記に加えてDCプランナー、福祉住環境コーディネーター検定、環境社会(ECO)検定などの新しい検定試験や講習会が実施されている。

 大正時代に実施された実務教育や検定試験は、今日の各種検定試験制度の先駆けといえる。

大正10年ごろの長崎市全景
大正10年ごろの長崎市全景


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