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130年の歩み

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5.拿捕漁船・抑留船員の返還運動 (昭和30年2月〜)

韓国拿捕の日本漁船漁民の救済方について陳情を行なったことを伝える会議所ニュース(昭和30年10月号)
韓国拿捕の日本漁船漁民の
救済方について陳情を行なった
ことを伝える会議所ニュース
(昭和30年10月号)

 戦後、日韓両国の間には、戦前の経緯からの賠償、在日韓国人の取り扱い、在韓日本財産の請求権など数々の問題が横たわっていた。昭和27年2月15日、日韓関係修復のため日韓会談が開始され、折衝が重ねられたがなかなか合意に達せず、会談はしばしば中断される状態にあった。

 こうした情勢のなかで、韓国の李承晩大統領は、昭和27年1月18日、突如として、一方的に李ラインを設定し、朝鮮近海に出漁する日本漁船に対し、ライン外への退去命令や拿捕等の実力行使を始めた。

 この韓国の行動は、漁船の安全操業に支障をきたし、とくに屈指の水産県である本県は、その影響はきわめて大きく、水産業界の死活問題であるばかりではなく、人道上の問題でもあるとして騒がれた。

 ちなみに、昭和30年10月1日付の「会議所ニュース」は「韓国政府による漁船の拿捕は201隻、2,614人にのぼり、そのうち長崎県は末帰還だけで23隻255人を数え、留守家族の不安・焦慮、水産業界の窮状は目にあまるものがある」とその実情を報じている。

 長崎商工会議所は、こうした事態をいつまでも放置することは許されないとして、政府に対し、日韓会談の再開を急いで、拿捕漁船・抑留漁船員の早期返還と漁船の安全操業確保をはかるよう、あらゆる機会をとらえて陳情、要望を熱烈に行なった。その主なものは次のとおり。

 ○ 昭和30年2月9日 鳩山総理大臣
      ・日韓会談の速やかな再開促進について
 ○ 昭和30年2月22日 九州商工会議所連合会総会
      ・日韓会談の速やかな再開と漁業の安全操業の措置について
 ○ 昭和30年8月7日 アリソン駐日米国大使宛
      ・李ライン撤廃について
 ○ 昭和30年9月12日 日商会頭宛
      ・韓国拿捕の日本漁船・漁民の救済について
 ○ 昭和30年12月7日 日商臨時会員総会
      ・日韓会談の再開促進、抑留漁船員及び拿捕漁船の即時送還
      ・李ライン問題に基づく水産業者の損害補償と抑留漁船員の家族援助について

 政府も、事態を憂慮して、いろいろな手段を講じながら韓国当局と交渉を重ねたが難航を続け、昭和32年9月に至って、ようやく抑留者の釈放問題が妥結し、最終的に、日韓両国間の漁業関係協定の調印をみたのは40年6月のことであった。


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