長崎のおもてなしの心を表現する慣習や、人、もの、文化などを紹介します。
お慶、油屋町の傘鉾を寄進する
傘鉾 |
諏訪神社の秋の大祭・長崎くんちで、踊町の町印として先頭に立ち、華麗な円舞を見せる傘鉾。実は現代に受け継がれている油屋町の傘鉾は、明治初年、お慶が茶貿易で財を成した後、京都で作らせたもの。
傘鉾を作る経費は大方の見当を絶する金額。町の名誉を凝集したシンボルは趣向を凝らし、かつ絢爛の極致でなければならなかった。また、江戸時代の傘鉾は親代々の富家に限ってつくられ、伝統と権威を重んじていたため、にわか成金では町内が許さない。しかし、この傘鉾を一手に引き受けて出した町人は“傘鉾町人”といい尊敬されたという。お慶も相当に町民から慕われていたことだろう。
ダシ(飾り)は白木の三宝の上に稲穂を配した長熨斗(ながのし)。熨斗おさえに金色の宝珠。輪は〆縄飾り。垂れは前日は塩瀬(絹織物)に金糸にて三社紋刺繍。後日は真紅の塩瀬に金糸にて波、日の出を刺繍。